About Cleartone

クリアトーン弦を開発したのは1960年代にロックの形成に大きな役割を担ったエヴァリーブラザースのフィル・エヴァリー。演奏中に弦が切れたり、頻繁に交換する手間から開放されたい。そんなプロミュージシャンの願いが開発のきっかけでした。

Cleartoneとは

クリアトーンのコーティング弦を開発したEverly Music(エヴァリー・ミュージック)は、1950年代に「Wake Up Little Susie」 や「Bye Bye Love」「Dream」などのヒット曲を出したEverly Brothers(エヴァリー・ブラザース)のフィル・エヴァリーにより1997年に設立されたギターリストのためのメーカーです。

エヴァリー・ブラザース

エヴァリー・ブラザースはドンとフィルのエヴァリー兄弟によるデュオで、1960年代のロックンロールの形成に大きな役割を果たしたと言われています。ビートルズやビーチボーイズ、サイモン&ガーファンクルなどに多大な影響を与えたことでも知られています。

フィル・エヴァリーが生活のほとんどをツアーに費やしていた当時、彼は常にギターの弦に悩まされていました。演奏中に弦が切れたり、頻繁に交換する必要があったからです。当時から彼は新しい楽器のアイデアや開発に対して情熱を持っていましたが、切れにくく長持ちするギター弦があればどんなにいいだろうか、と常に思い続けていたのです。

独自製法スーパー・ハイテンション・ワインディング

そしてようやく彼が開発したのが、スーパー・ハイテンション・ワインディング(高張力による弦の巻きつけ)と呼ばれる技術です。芯に対して超高圧力にてワイヤーを巻きつけるため、これまでの同じゲージの弦と比べると、音質はとても明瞭でパンチの強いものとなり、音量も大きくなります。他社の同じ長さの弦と比べ、エヴァリーの弦に使用するワイヤーの量は、相当多く使われることになるので、弦はしなやかさを持ちながら、精密で硬く重厚な感触が得られるのです。

この新しい技術開発をきっかけに、1997年にエヴァリー・ミュージック社はメーカーとしてのスタートを切りました。

独自素材アロイ52などの開発

もう一つの大きなエヴァリー弦の特徴は、アロイ52と呼ばれる素材を使用していることにあります。市販されているほとんどのギター弦はニッケルもしくはニッケルめっき処理したスチールを使用しているのが定番ですが、アロイ52はエヴァリーが開発した材質で、ニッケル52%、鉄を48%と鉄の比率を高めています。エヴァリーがその材質にこだわった理由は、まず耐久性に優れていること、そして磁石との相性がいいことです。

音を拾うピックアップはマグネットが基礎となっていますが、鉄を多く含むエヴァリー弦はピックアップがより大きく反応するのです。それに独自のハイテンション技術が組み合わさり、これまでにないクリアーな音質と、大きな音量を実現したのです。この品質がミュージシャンたちに認められ、エヴェリー弦は一気に知れ渡るようになったのです。

またアコースティックギターには通常のブロンズ弦よりも飛躍的に銅純度を高めたフォスファーブロンズ弦を開発。これは後により暖かみのある音が奏でられるRedブランドの弦として、高い評価を得ています。

エヴァリー・ミュージックにとって、次に大きな転機となったのは2004年のことです。その頃、Elixorなどがすでに販売を進めていたコーティング弦への着手でした。コーティング弦の分野は将来を有望視されていました。私たちは市場のコーティング弦を調べ、改良の余地への研究を着手したのです。

コーティング弦は使えない?

しかしリサーチを進めると、プロの多くはコーティング弦はダメだと言いました。「音が伸びずトーンが悪い」と。これはコーティングが非常に分厚く、弦の感触までもが変わってしまっていたからです。これではこもったような音で、違和感のある感触も当然でした。そしてコーティングがすぐ剥がれるので、ズボンがコーティングのカスだらけになってしまっていたのです。

エヴァリーでは、そういったコーティング弦の問題点を克服するため徹底的に研究を重ねました。そもそもコーティング弦の何よりの魅力は耐久性。それが実現すればギターリストの悩みの種である弦の交換の回数を格段に減らせることに繋がります。しかし音質を損なっていたのでは意味がありません。

そこでエヴァリー社は化学専門のメーカー数社をリサーチし、相談することにしました。そして、そのうちの一社で最適なコーティングが得られることを確信したのです。そのメーカーのコーティングは、コンピュータのハードディスクドライブのプレートなどに使用されるものでした。これは極めて薄いコーティングでありながら、なおかつ非常に高度な耐久性を要求されるものです。エヴァリー社では数多くのサンプルで実験を繰り返し、最終的にEMP(Enhanced Molecular Protection)コーティングを開発し、クリアトーン弦を生み出すことに成功したのです。

すべての技術が融合し、クリアトーン弦へ

クリアトーンの弦にはエヴァリー社が生み出したエヴァリー弦やRed弦などの技術をもとに、それぞれの楽器の特性を活かす弦を素材として使用し、これらにコーティングを施したものがクリアトーン弦となるのです。1997年にギター弦業界に旋風を巻き起こしたスーパー・ハイテンション・ワインディング、アロイ52のエヴァリー弦、銅純度を飛躍的に高めたRed弦などをもとに、独自のEMPコーティングを施したものだけが本物のクリアトーン弦となるのです。

また他のコーティング弦との大きな違いは、コーティングが巻き弦だけではなく、単線(Plain String)にも施されている点にあります。非常に薄く、かつ耐久性に優れたEMPコーティングだから成し得た技と言えるでしょう。またコーティングが非常に薄いため従来の弦と同じ感覚で演奏することが可能で、他のコーティング弦のように滑りすぎる事もありません。


 

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